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めている。
第3に、そうはいっても、制度の枠外にある問題や新しい課題に対する対応は、迅速性や柔軟性を欠き、十分ではないと思われることである。たとえば、鉄道の電化・複線化に伴う沿線の土地利用については、県は問題意識を持ちながら、所管部局が決まらず検討を見送った結果になっている。産炭地域の問題にしても、国の時限措置が切れた後の新たな振興策について、県はなお明確なビジョンも持っていない。広域的課題に関する府県への期待は、十分な形で応えられているわけではない。
第4に、府県が広域的事務を実施するに当たっては、必ずといっていいほど市町村の意見を聴き、その協力を得ながら実施しているということである。土地利用について、県は早い段階から市町村の意見を聴き、その突き上げも受けて内容を修正しながら進めている。知事決定に係る都市計画についても、原案をつくるのは市町村である。地域振興の計画においても、位置づける公共事業の候補をリストアップするのは市町村の役割であり、事業の遂行や地域の将来像を描くうえでも、市町村の役割はなくてはならないのである。
この実態分析を踏まえて、再び、府県のあり方について考える。
4。府県のあり方に関する分析視点
(1)府県の必要性
そもそも府県は必要か。この問いに対する回答は、本来は、府県の性格や機能に関する検討を通じて明らかになるというべきであろう。しかし、3の実態分析の結果から概括的にいえば、府県のような広域的な地域を担当する自治体は、今後とも必要だといってよいと思われる。
すでに述べたとおり、土地利用や広域的な都市計画は、地域間のバランスを図りながらコントロールしなければならないから、すべてを市町村自治に委ねることはできない。地域振興は、豊かな地域から振興すべき地域に資源を再配分することでもあるから、当事者間の調整に委ねることは無理が多い。産業廃棄物の処理についても、発生源と処分可能な空間が分離している現状では、これらを市町村の責任とすることは酷ですらあろう。
そうかといって、これらを国の機能とすることは、地域個性への配慮を欠き、かつ地域住民のコントロールから遠ざける結果となって適当ではない。
このように、2つの政令市を抱える両県においても、府県の対応が求められる広域的課

 

 

 

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